今回はハーフ・ポジションの練習曲2.以降を見て行きましょう。

 同じくハーフ・ポジションの練習曲1.や音階(ヘ長調・変ロ長調)は運指が比較的単純で、音の流れも下行型→上行型(または上行型→下行型)と一定の進行になっており分かり易いものです。しかし練習曲2.以降の数字のふってある練習曲は、音の進行によって効率のよい運指を考える必要があります。動かす必要のある指、動かさずに待機しておくべき指、また前後の音の流れからその指を左右どちらに移動させておくかなど、考えなければいけないことは色々有ります。最初は大変でしょうが、訓練を積めば特別意識しなくても素早く理解出来るようになっていきますし、何より楽曲を演奏する上で無くてはならない技術ですので、しっかり勉強しましょう。

ハーフ・ポジションに出てくる練習曲の内から何曲か取り上げ、一部を抜粋して運指の例を挙げます。画像と一緒に解説していきますのでので参考にしてみてください。



画像―譜面1
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ハーフ・ポジションの練習曲2. 冒頭4小節間

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 A線4の指。とり方は今までと全く同じです。しつこいようですが、必ず枕から測ってハーフ・ポジションをとるようにしましょう。














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 D線の開放弦です。押さえていた指を浮かし、指の腹がD線に触らないよう注意しましょう。D線に触れてしまうと、発音の妨げになってしまいます。指はまだA線上に待機したままの状態です。













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 D線2の指です。必要な1・2の指のみをD線上へ移動させて押さえましょう。ここでも3・4の指は、まだA線上に浮いた状態で待機させ動かしません。その理由は次でわかるかと思います。













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 A線4の指です(画像左)。3・4の指は最初にドの音弾いた位置から動いていませんので、そのまま押さえれば音程を外すことはないはずです。
もし指の関節が十分に支えられる力を持っているならば、3・4の指だけでA線を押さえるという方法もあります(画像右)











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 D線4の指。指をそのままD線へ移動させます。その際、指をあまり高く浮かさず、できるだけ低空飛行で移動しましょう。あまり指を上げ過ぎると音と音の間が不自然に切れてしまいます。
もし前のドの音を3・4の指だけで押さえることができていたならば、1・2の指は既にD線上に待機していますので、3・4の指をD線に移動させ押さえるだけでOKです。











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 3・4の指をはずします。この時3・4の指はA線・G線どちらに移動させてもミの音をとることは出来るのですが、次の音は低い方へ進行しています。それにならい、3・4の指はA線上に移動させましょう。













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 D線開放弦なので、1・2の指を外してA線上に移動させます。















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 A線2の指です。必要ない3・4の指を移動させるのですが、E線・D線どちらに移動させてもシの音を押さえることはできます。この場合はどちらに移動させるのが正解なのでしょうか。上記「画像―譜面1」には載っていませんが、次の音は「レ」つまりD線開放弦です。D線に3・4の指を移動させると邪魔になってしまうので、画像のようにE線へ移動させるのがよいでしょう。











画像―譜面2
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ハーフ・ポジションの練習曲3. 冒頭4小節間


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 A線4の指。特に説明は必要ないかと思います。















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 G線の開放弦です。指の位置はそのままA線の上に置いておき、G線に触れないように指を浮かします。














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 1・2の指だけをD線に移動させ、押さえます。3・4の指は動かす必要がないので、やはりA線の上に待機させたままの状態。














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 既にA線上に置いてある3・4の指を押さえます。1・2の指は押さえる必要がないので浮かせてしまいましょう。
2本だけで押さえることが難しい場合は(上記練習曲2.でそうしたように)1・2の指を補助として用いる方法もありますが、次の音を押さえるために指を移動させなければいけない距離が少し増えてしまいます。











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 G線2の指。D線においてあった1・2の指を、G線に移動させて押さえ、3・4の指はそのままの位置で浮かせます。
もし前の音をすべての指を用いて押さえていた場合は、1・2の指を弦を一本またいで(A線→G線)移動させる形になります。












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 D線4の指です。画像のように3・4の指だけで押さえてもいいですし、4本の指すべてを用いて押さえてしまっても構いません。














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 すべての指をD線上に置いた状態にします。勿論G線には触れないようにしてください。














画像―譜面3
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ハーフ・ポジションの練習曲5. 最期4小節間

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 E線1の指。必要ない指は隣の弦に置いておきます。















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 A線の開放弦。先ほどA線上に置いていた指は邪魔になるので、1の指が待機しているE線上に移動させます。














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 すべての指をA線に移動させ押さえます。低空飛行で、音と音の間が出来るだけ自然につながるようにしましょう。














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 E線開放弦。指の位置はそのままで浮かせます。















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 E線に1の指のみ移動させて押さえます。















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 先ほどの1オクターブ上のファ。次の音はもう一度1オクターブ下のファを弾くので、1の指はE線上にそのまま残しておきましょう(勿論押さえなくて結構です)。少ししんどい指の形になりますが、一つ弦を挟んで1の指・4の指でつくるオクターブの形は使う場面も結構あるので、今のうちに慣らしておきましょう。












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 E線においてあった1の指に重心を移し、押さえます。


 












 例に上げた指使いはほんの一部ですので、他の部分はいかに効率よく指を移動させるか、ご自分で考えながら演奏してください。その時の試行錯誤が、後々の実力・技術へと繋がって行きます。