※当項目で記されている「」は、奏者から見た方向で解説しています。


 前項で学習したアルファベットがふってある譜面での練習は、ポジションの移動は行われず、また各弦ごとに独立したものでした(a.はG線のみ、b.はD線のみ・・・といった具合に)。このページで学習する数字がふってある譜面では、ひとつの曲の中にすべての弦への移動が含まれており、また1つのポジションだけでなく、他のポジションに移動する場合もあります。他のポジションへの移動はまた改めて練習するとして、ここではまず、同一ポジション内での正確な横移動をマスターしましょう。そのためにシマンドル9ページに記された1.の譜面を使用します(画像A)。

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画像A

 この曲はハーフポジションのみで演奏することができるので、縦方向への移動は必要ありません。よって、同一ポジション内で別の弦へと横方向へ移動していくことに神経を集中して練習することが出来ます。これまでの練習でお分かりかと思いますが、コントラバスのポジションはギターのフレットのように、同じ高さに真横に並んでいます。よって、同一ポジション内で正確に真横に移動するすべを身に付ければ、音程が正確にとれるようになります。

 それでは上記の楽譜を用いて、実際にどのようなシフティングをするのか見てみましょう。各音を画像とともに解説していきます。すこしくどい説明になっているかもしれませんが大切なところなので、画像を追いながら丁寧に学習しましょう。最初は音をひとつ弾くごとに止まって頂いても構いません。弦を移動するときに指がちゃんと真横に動いているのかもきちんと目視して確認しましょう。慣れてきたら音と音の間を切らないで、最後まで通せるように練習しましょう。


2014y10m26d_193454044シ♭
まず一つ目の音です。G線でハーフポジションの4をとりましょう。とりかたは今までと同じように、必ず上駒に人差し指を置いて左手の形を作ってから、中指の位置に人差し指をスライドさせてくるように。詳しいとり方は各ポジションの基本的なとりかたを参考にしてください。






2014y10m26d_193458093
必要のない4の指(小指)と薬指を隣の弦上に移動させます。押さえる必要はありません。アルファベットのふってある練習で学習済みですので、問題なくとれると思います。正確に真横に移動できていないと今後の音程に大きく影響しますので、注意しましょう。







2014y10m26d_193500640ラ♭
2の指(中指)を隣の弦上に移動させます。









2014y10m26d_193502739
G線を開放弦で弾くので、指は全て隣のD線上にあります。G線に指があたってしまうと弦の振動を邪魔することになってしまうので、G線をまたぐように指をアーチ状にしましょう。







2014y10m26d_193506475ファ
ここまで左手の指が正確に真横に移動できていれば、上記画像の状態からそのままD線を押さえるだけで、ファの音をだすことが出来ます。








2014y10m26d_193509068
ここからはG線の時と同じ流れです。弾く弦によって左手の感覚も微妙に変わってしまうため、音程のズレに気をつけてください。








2014y10m26d_193511481ミ♭










2014y10m26d_193513624
D線をまたぎます。









2014y10m26d_193515548
上記画像の状態から、そのままA線を押さえます。









2014y10m26d_193517534










2014y10m26d_193519389シ♭










2014y10m26d_193521194
A線をまたぎます。









2014y10m26d_193523022
上記画像の状態から、そのままE線を押さえます。









2014y10m26d_193525062ソ♭
E線の右側には弦が無いため、必要ない指は左側のA線上に退避させます。慣れない形で少し難しいかもしれませんが、こちら側にも動かせるよう頑張って練習してください。








2014y10m26d_193526703ファ
この辺になると、指の支えが弱いうちは押さえるのも一苦労です。練習を通して指を鍛えることは勿論、普段から指のトレーニングをしてある程度力をつけておくと楽に押さえられるようになるでしょう。







2014y10m26d_193528345
次から上行形(音がどんどん上がっていく形・下がっていく場合は「下行形」)に移ります。









2014y10m26d_193530298ファ
下行形では必要のない指を隣の弦に退避させていたのに対し、上行形は必要な指だけを隣の弦から移動させてきます。








2014y10m26d_193531974ファ♯










2014y10m26d_193533757










2014y10m26d_193535743
上記のソでE線を押さえていた指を浮かせて、A線をまたぐ状態にし、そのままA線を弾きます。








2014y10m26d_193537561ラ♯
必要な1の指を、E線からA線に移動させ押さえます。









2014y10m26d_193539718










2014y10m26d_193541358










2014y10m26d_193542948
A線を押さえていた指を浮かせて、そのままD線を弾きます。









2014y10m26d_193544701レ♯










2014y10m26d_193546351










2014y10m26d_193548656ミ♯










2014y10m26d_193550207
D線を押さえていた指を浮かせて、そのままG線を弾きます。









2014y10m26d_193551786ソ♯










2014y10m26d_193553256










2014y10m26d_193554884シ♭











 これでハーフポジションの1.は完了です。上記でも述べたようにまずは指の移動を確認しながらゆっくりと練習し、最終的には視覚に頼らなくても真横に移動ができるよう、音程が正確に取れるよう繰り返し練習してください。

 やっていただければ分かると思いますが、指の退避する方向が下行形では右方向へ上行形では左方向へと、音の流れに沿って動いています。指をどちらの方向に移動させるか、またどこから持ってくるかというのは前後の流れによって違い、理にかなったシフティングを思いつくためには色々なパターンの練習曲を弾き、考えながら経験を積み重ねて身につけていくしかありません。次の音が高・低どちらに動いているのかや、移動させる必要のある指・ない指などをしっかり考え、効率的なシフティングを身につけていってください。